十月

十は、仏教では無限(十方)の意味を表すものである。
(縦と横の棒を伸ばし、永遠の広がりを持つことを漢字の形も示している)。
東大寺の大仏は、仏教の持つ宇宙観(華厳経)の頂点である盧舎那佛であるが、
仏陀(悟りを開き如来となったもの)が一丈六尺で表されるのに対して、
その十倍の大きさを以って作られた仏像である。
つまり、仏教の宇宙観、仏の世界は無限の広がりを持つものとして解釈され、
それを眼に見える形で表したのが東大寺の大仏だった。


十大弟子

正しくは釈迦十大弟子という。釈尊に随侍した十人の高弟のことを指す。
仏伝によく描かれていることが多い。
八世紀あたりには、造られた釈尊像には眷属として配されることが通例であった。
興福寺西金堂(乾漆像)、極楽寺(十体現存)、大報恩寺(京都)などが有名。

舎利弗 しゃりほつ 智慧第一 
 智慧に秀でて「般若心経」の中で釈尊の説法相手となっている。長老として描かれることが多い。

摩訶目健連 まかもく(けん)れん 神通第一 
 餓鬼道に落ちた母を超能力(神通力)により救ったとされる(盂蘭盆会の起源)。
 
摩訶迦葉 まかかしょう 頭陀第一
 釈尊の死後500の羅漢を率いて、仏道修行(頭陀)の規律を守り、第一次結集の指導をした。
 厳格な厳しい性格だったが、釈尊の涅槃の時には遅れてしまって描かれていない。

羅ゴ羅 らごら 戒行第一
 釈尊の息子。最初の沙弥(少年僧)としてよく戒を守り 読誦を怠らなかった。

阿難(陀) あなん(だ) 多聞第一
 釈尊の従弟 出家以後の釈尊の身の回りの世話をしたとされる。 

須菩提 すぼだい 解空第一
 「空」を説く大乗経典に精通していた。

富楼那 ふるな 説法第一
 上手に説法をしたとされる。
 

摩訶迦旃延 まかかせんねん 論議第一
 論議をよく行ったとされる。

阿那律 あなりつ 天眼第一
 釈尊の説法の時に居眠りをして 以後眠らぬ誓い(天眼)を立てたとされる。
 
優婆離 うばり 持律第一
 釈尊の死後の第一次結集の時に律(教団の規律)を作ったとされる。


○ 涅槃図には、釈尊に先立った舎利弗と目連は描かれていない。遅れてしまった迦葉も描かれていない。
○ 阿難陀は世に長けていて女性にもてたという。
  禅宗では、 阿難と迦葉を釈尊像(釈迦如来像)の脇に置き、十人の代表とすることがある。
○ 羅ご羅(らごら)は、釈尊の息子であるため、釈尊の足元に童子として表現されることもある。


その他の釈尊の眷属

十大弟子のほかに、十六羅漢、五百羅漢などがいる。羅漢とは、「菩薩になる手前の修行の身の、
尊敬すべきもの」という意味である。十大弟子より身近に感じられるために、
民衆の信仰を集め、多くの彫像や絵画がが作られた。