青木繁と近代日本のロマンティシズム展 乱 雑記


とっても見たかった絵にやっと会えた
日本武尊 思ったよりもずっと小さい絵だった
イメージになかでは 等身大だったのだ
空気が渦をつくって巻き上がる 混沌とした中で 
力強く 一点を見つめている・・
私の 国作り神話の日本武尊 そのままのイメージなのだ
モノトーンのなかで わずかに底力になっている赤がすばらしい
その赤は海の幸や自画像の中ではつよく主張しているが
それは 彼の芸術表現のほとばしりだろう
はじけだすような自意識が 形にならないまま色となって飛び出している
計算されていない未完成の完成がすばらしい

セザンヌの未完成やピカソのそれは 計算され尽くされている感があるが
青木繁の荒削りな 未完なしあがりに 私はものすごいエネルギーを感じる

「海の幸」を発表し その評価は様々であったらしいが
その中で未完成とされた部分を彼は 画家の技術の中で克服し
絵画として完成されたわだつみのいのころの宮を作成する
構図 精神性 筆致 どれをとっても 理性を以って描かれている(と感じる)
美しいけれども 彼の ほとばしる激しさが ここにはない
本画の横に 習作が並んでいるが 
この絵には 計算されていない彼本来の筆致を感じる

学生時代の作品でランプという作品があった
はじめ これは晩年の作かと思ったほど おちついた静かなかんじがある
肺炎を患い 療養先で描いた朝日と 同じ静寂さを感じたからだ
製作年月日を見て おどろいた・・
そうか よく見れば 色使いもあかるく すみやかで わかわかしい
でも 力の入っていない 透明なこのかんじは 若さのどこからきたのだろうと思う
本とランプの配置のバランス その質感 背景の絶妙な配色 
水彩のにじみが偶然のものだったとしても
この絵にかなにある 完成度の高さは 必見の価値があった

青木繁の自画像とともに 数人の画家の自画像が並んでいる
つい これはピカソ系 レンブラント系 と 分けてしまう自分は
もうすこし 素直に絵自身を見ないといけないと 反省する
なかなか 独自の表現をつかむことは難しいのかもしれない

いろいろなタイプの画家がいるが
青木繁は 絵そのものが自分自身であると
強く意識している画家のうちの一人だろうと 私は思う
描いている対象そのものに自分を照射させて描きつづけたにちがいない

客観はなく そこには主観しか存在しない

2003.4.6








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