美しさは祈りの中に

大日如来


まろやかなほほ 軽く閉じられたまぶた 細い腕 
やわらかそうな それでいて 意志を貫こうとするような細い指

そのひとつひとつに とぎすまされた若い感性が あふれでている

    



大日如来は すべての仏の中心となる 如来である
曼荼羅図などに描かれるときも 常に中央に描かれる
曼荼羅図とは 宇宙すべてを神格化してあらわしたものである



大日如来は 諸現象の理 である

大日如来は 宇宙そのものである






後に運慶が作った作品の中にある力強い作風は感じられないが ここには 奈良平安の様式には見られない 的確な写実性がうかがえる 仏像が祈る心から離れてしまう 刹那に生まれた 若き大日如来像である 仏像がまだ見えないものを具現化することができた 最後の作品のように私には思われる この先品を含む慶派の作品以降 日本の仏像は 衰退の一途をたどっていく
この像は 現在奈良の円城寺にあります 小さな 訪れる人も少ないそのお寺に ひっそりと安置されています モノクロで見ると 黒と白のまだらに見えますが この像全体は 当初は全身に金箔が施されていました その金箔は 木像の上に漆を塗ったその上に施されていました 時代を経て金箔がはがれ 今は 漆の部分が 多く私たちの目に触れているのです 向かって左の眼からほほにかけて残っている金箔が 涙に見えるところから 泣き如来 と呼ぶ人もいるそうです でも わたしには あまりそのようには見えません 智拳印を結ぶ姿が 本当に美しい仏像です わたしが一番好きな仏像です
そして 祈りは美しさの中に…
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