EDIT HARMS 画家の妻  エディットは シーレがヴァリーと同棲していたアトリエの隣家に住む娘でした ハムス家には二人の娘がおり しだいにシーレと行き来するようになりました シーレは 妹のエディットの熱い思いを受けるようになります シーレもまた何通かのラブレターを送っています エディットは シーレとの結婚を望み ヴァリーとの別離を迫りました シーレは エディットとの結婚の後も ヴァリーとの交際を望みましたが (年に一回南仏への旅行をヴァリーに提示し ヴァリーをつなぎとめようとしました) 彼女は シーレの前から去りました エディットの聡明さが 本能のままのヴァリーを シーレの中から駆逐しました なぜ シーレは「結婚」にこだわったのだろう 新しい命の生まれる家庭 おだやかな時間 そういった 世俗的なやすらぎを エディットに求めたのだろうか エディットにはヴァリーとはちがった 強さがある 運命を引き寄せる 強さがある 官能の世界から 現実の世界へ エディットは シーレを導き出したのだろうか おどけたエディットの表情は 性の怒涛の中から シーレを救い出したかもしれない ヴァリーやゲルティの絵にはない 穏やかな視線がある やさしさがある でも 鋭さがない 身を切られるような 痛さがない   family 家庭に生の安らぎを 新しい命の誕生を シーレは エディットを通して求めていった でも エディットは 知っている ほんとうのシーレは 官能の中にこそいることを シーレは自分の行き着く先を 見極めてはいない エディットは シーレがもとの場所に 戻ることを知っている 彼女の 悲しげなひとみが それを物語っている シーレは ゲルティをすぎ ヴァリーをこえ エディットにたどりついても ひとりの世界に返っていく 自分自身だけの世界に 孤独の快楽を求めていく 官能的ではあるが 観念の中に それはある 自分だけにしか感じることことのない 感覚の世界に シーレは 生きた