形について ピカソの場合
抽象画といえば 誰しも思いつくのがピカソです
ピカソの4枚の女性の肖像画を ならべてみました
彼の興味は 人間の存在そのものにあったように感じられます
そして 形ではあらわしきれない人の心や意志を
背景の配色であらわしたり形を崩すことで 表現していこうとする過程がわかると思います
はじめのうちは まだ目に見える形の中でそれを表そうとしていましたが
彼の感受性は 画面や色の制約 つまりは自然の法則から飛び出して
独自の人体表現を作り出していきます
左下はよく私たちが見かけるタイプのピカソの絵です
私は 晩年の右下の絵がとても気に入っています
初期の頃に見られる人物に対する愛情と 独自の人体表現が
とてもうまく融合されている作品のように思うからです
形について カンディンスキーの場合
カンディンスキーは 具象の時代 圧倒的に風景画の多い画家です
人物を描いたものもありますが ほとんどが情景のなかの一要素です
彼は人物や風景を 画面に表すうちに
その画面の世界のとりこになっていったように私には思われてなりません
人を描き表すよりも自分の心の興味のあった人かとも 受け取れます
右上の絵は 本当に色鮮やかな風景画ですが 大きくしてみると
風景画であるにもかかわらず すでに彼の絵画表現の要素があるのがみてとれます
つまり目に見えるものをそのまま写し取ろうとしていうのではなく
景色に対する自分の感動を 形や色に変えて描いていこうとしていることがわかります
たとえば きれいに感じた赤の色を形の中に押し込めないで
そのままの存在として描いているような感じです
形にしても もとの形を残しながらも
画面構成のほうに彼の気持ちが動いているのがみてとれます
彼にとって 色は光を表す道具ではなくなりました
彼にとって 形はものを表す道具ではなくなりました
色や形は 彼にとって心を表す道具として使われだしました
そして風景や人物という媒体をとおることなく
彼は 感じたものを 形と色だけで 表現していくようになります
下の二つは 最晩年のものです
複雑に絡み合いながらも 理路整然とした彼の心が私には見える気がします
形について セザンヌの場合
彼の絵は抽象画なのでしょうか
私には 彼の絵はどれも のっぺりした平坦な絵に見えます
生気がないようにも感じられます
私は そこに彼の絶望を見ます
おそらく彼は 絵を描くことに失望していたのだと思います
どう考えても 三次元の世界を二次元であらわすことはできません
そのできないことを 補うために遠近法が生まれ
あたかも三次元があるかのように絵画は描かれてきました
しかし その限界に気づいたセザンヌは あえて 遠近法をこわしていきました
こぼれおちそうなみかんやビン・・・・
単体として見えたものたちを みえたままに同一画面に描いていくこと
つまり いくつもの視点を絵の中に置くこと
絵が誰から見ても意味のあるものではないということ
自分の感性を表現していくものであるということ
つまり 絵は自分自身そのものであるということ
そういった彼の考え方が のちの抽象画を生み出したといわれています
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