LADY in rainbow


きれいな女性の絵は魔法みたい
吸い込まれるような肌のきれいさや
ふっと動かされた肩や足元に
ドキッとするような誘惑があふれている




click cubes…



クリヴェッリの描く女性は 氷のように冷たいまなざしを持っている 聖書や神話の中の人物に扮装している女優さんのように 役を演じきりながらも 自分がここにいると強く訴えかけてくる
彼女は何を見ているんだろう 鏡の中の自分の その中の何をみつめてるんだろうか ただ 昨日より増えた小じわの数を数えているんだろうか 今度会う時の笑顔の作り方を考えているんだろうか 明日はもう いないかもしれないのに 鏡の中の小さな永遠と遊んでいる
そっと添えられた手に いとしさがあふれている 指先から魔法が拡がって 彼はとりこになる
本物の羽が生えているかのような天使の柔らかな肩 悲しみをたたえているけれど そんなこととは関係なく そっと触れたくなるようなやわらかい肩 こんなに写実的でありながら 現実にいることはない天使 どこまでも 心の中に描かれている世界
愛に 愛に 満ちあふれている やさしさに やさしさに 満ちあふれている ティツィアーノの描く女性は 官能的な女性が多いけれど こんなに純心な なんのけがれも知らないような  愛に満ちた女性たちもいる 彼は 絵を通して 人の心の喜びや悲しみを 私たちに伝えてくれる
レオナルドダヴィンチの描く女性ならば 彼女が一番好き ほっそりした顔立ち 凛とした表情  そしてどこか なぞめいている 彼女もまた 天使 でも その肩の線の柔らかさに 私は心惹かれる
空気の中に溶け込みすぎて 今さっき 男の首を切ったとは思えないほど 静かななまめかしさをたたえているユディット 彼女の足元にあるのは ジョルジョーネの首 彼女は ジョルジョーネの想い人だったのだろうか ジョルジョーネは 愛にひれ伏したのだろうか その肩のまろやかさ その足の描く曲線 きっと すべてがジョルジョーネをとりこにしたんだろうか
描かれたユディットたち 1 描かれたユディトは 旧約外伝『ユディト書』に出てくる女性 彼女は 敵将ホロフェルネスの陣営に自らすすんで入り油断させ そのすきに首を切り落とし 民族の運命と同胞を救った女性だ 寝所で情を交わしたのちにホロフェルネスの首を落としたという話は 絵の注文主や画家のかっこうのテーマだった そしてマグダラのマリアと同じく 自らのテーマを離れ  彼女は魔性を持つ官能的な女性として描かれ続けてきた ジョルジョーネは意図的に 絵に別の意味を持たせようと試みた ストーリー(多くは聖書や神話)を持った絵を描きながら 主人公たちを描きたいものの象徴としてだけ扱った  それが その後に続く絵画の描かれ方にも大きな影響を与えていった ジョルジョーネのユディットは1504年に描かれた   クラナッハ(1530)の描く女性はみな テーマからはずれその官能性が主に表現される マセイス(1543)のユディットも その白い肌がテーマからかけ離れている クリムトのユディットは官能的であまりにも有名  1500年代の絵はテーマと女性表現が別個に存在しているけれど クリムトのユディットは殺人にいたるまでの行為すべてに恍惚しているように見える 人間の複雑な官能のあり方を見抜いているように感じる いかにもクリムトらしい 描かれたユディットたち 2(現場から) ユディットは ホロフェルネスがすっかり疲れて寝入ったのを確認してから殺害を実行した 寝入ったとはいえ 女性一人の力では敵わず 寝所の隣に待機していた女性とともに犯行に及んだ ホロフェルネスが身におこっていることに気づいた時には もう刃が首を襲っていた 実際の現場はジェンティレスキの絵(右)にちかい修羅場だったのではないか ホロフェルネスを二人がかりでが押さえつけているところが妙にリアル・・ シーツを汚していく血 シーツの乱れに 悪戦苦闘がうかがえる カラヴァッジョの絵は 驚愕のホロフェルネスの様子が現れている まさに首が離れる瞬間 人はこんな顔になるんだろうかと考えさせられる 「どうなっているんだ??!」という疑問符だらけの表情だ ことをなし終えた後 なぜルーベンスの描くユディット(中)はふりかえって画家をみつめたんだろう 最後までいたって冷静にことを運び あらかじめ用意していた袋に切り取った首をしまい持ち帰った どうみてもお花摘みの帰りの乙女にしか見えないけど・・・・ ボッティチェリは何を考えてこの絵をかいたんだろ・・・・・・・・・わたし的に謎
画家が自分になぞらえてその首を描いたために ジョルジョーネのユディットはとても私的なにおいがする ティツィアーノのユディットは その10年後に描かれた 何に悲しみをたたえているんだろう なぞめいた寂しげな表情 でも冷たくも感じるその表情に私はひきつけられる ティツィアーノの描くほかのどんな官能的な女性より かえって なまめかしい女性の魔性をユディットの中に感じる museum