ラトゥール展 乱 雑記


いろいろな本などで取り上げられていて 賑々しく宣伝しているので
ある意味とっても期待をしていったのだが すっかりがっかりして帰って来た

展示方法が詐欺みたいだった
あの作品数であのスペース・・むりむりむり
だから所蔵の版画などを並べて「空間」を埋めているが
並べるならば もっと考察や比較をしないと展示としてはよいものにならないと思う
ほんと 場所ふさぎにしか見えなかった

で 絵がよければいいのだけれど 贋作なども交えて並べられており
見る目のない私には いちいち確認せねばならず なんだかいらいらしてきてしまった

絵自体も 密度の濃い物は少なく非常に散漫な気がした
デッサンがしっかりしていないと思うものが多々ある
(自分がかけないのに偉そうにごめんなさい)


「犬を連れたヴィエル弾き」
「聖ヨセフの夢」
「聖ペテロの涙」

この三点は厚みがあってすばらしかった
「聖ヨセフの夢」は 完成度の高い絵だった(と図録にも書いてあった)
とくに天使の描写がすばらしい
羽もないし 白いドレスも着ていないし 飛んでもないけれど
きっとお告げをくださる天使様は この絵のように
純真無垢でいやみのないさわやかな威厳を持っているんだろうと思えた
天使の左手が仏像の与願印のきれいな形をしていた
光による陰影でまたその美しいシルエットが際立っていた
右手はヨセフに添えられておるけれど これはまさに施無畏印
「心配ないのだよ・・」とやさしく語りかけている手だ

ろうそくの光源を天使の右手で隠すことによって
光が和らいできれいな空間を作り出している
ラトゥールの絵で私が一番好きなマグダラのマリアの絵の中で
髑髏で光源を隠すものがあるが どちらも光の扱い方が絶妙だ

そう 今回私の好きなラトゥールの絵はきていなかった
メトロポリタンのマグダラのマリアと 
ワシントンナショナルギャラリーのマグダラのマリアだ

期待していた「大工の聖ヨセフ」には 少しがっかりした
イエス様の顔が どうもよくない
この絵だけでなく ラトゥールの絵全体的に
顔の表現や表情が硬く 心が拒否反応を起こしてしまう
あくまで「好み」の問題なのだろうと思っている

「聖ペテロの涙」は ペテロの(いや人間の)弱さとやさしさが
その表情からあふれ出ていて すばらしい絵だとおもった
ペテロのあしもとの衣服を透けて通ってくる光がすばらしかった

「犬・・・」は 上の二つに比べ完成度は低いけれど
存在感のある絵だと感じた

この3点の作品を見られただけでも よしとしよう   

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