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wind
Andrew Newell Wyeth:1917
300年かけて大事にしてきた想いに 別れを告げるには やっぱり 300年かかるだろうか 私から 言いたいさようならではなかったから 心の中では まだ言えないでいる さようなら 自分のことしか見えなかった私に やっと気がついた ごめんなさい ワイエスが見たいな そんな言葉に誘われて はじめて知ったその名前をたよって 図書館の本棚に置かれていた画集にたどりついた 見たことのある絵が幾つか並んでいた どの絵も 静かな空気が 風になって流れていた 窓辺にゆれるカーテン 部屋にあるのは あなたの出て行ったあとの風だけ 窓辺に私の姿もないのは どうしてだろう この部屋は 誰の部屋なのだろう まだ だれかいますか ある夏に旅をしたその街に ワイエスの絵を置く美術館があるのを知った 立ち寄って見たワイエスの絵は 繊細できれいで すこし寂しげだった 窓辺に立つ女性の絵が とてもよかった 彼女は何かを待っているかのように 窓の外の遠い空を眺めていた 思い出になるのを まっているのだろうか 私は 届けることができなくなるとも知らずに その絵の はがきを求めて かばんにしまった あれから ずっと 私の心の奥のかばんにしまったまま でも だいじにとってある いつか 思い出の中でほほえんで 届けることができるように 一番伝えたい ありがとう の言葉を添えて そんな日が くるように だから はやく 思い出になるように