TEARS in rainbow 
涙によって何が描かれたのだろう

漫画などには 滝のような涙があったり 噴出す涙があったりします
ありえないけれど でも私たちはそこから 漫画の主人公たちの心を知ることができます
宗教の伝播が主な目的として広まった絵画ですが その目的が派生していく過程で
絵画技法や道具の進歩があり 画家たちは自分の描きたいものが何なのか追求していきます



画像をクリックすると 涙のアップ画像を見ることができます
 


ロヒール ファン ウェル ウェイデン 作 十字架降下  変な形をしているのは これがキャンバスに描かれた絵でなく  祭壇画として 厨子のようなものの一面に描かれているからです  私たちの贖罪のために キリストは十字架にかけられました  キリストの受難の最後 母であるマリアの悲しみがテーマです  この二つはキリスト教の教義を伝えるために 大事なテーマです  マリアとキリストの痛みと悲しみを理解することは   神の子キリストへの信心につながることとしてとらえられました  聖書の一場面として描かれた一枚です  このマリアの涙は 本当の涙の粒のようです  悲しさに立っていられないマリアの悲しみは  涙によって より深く表現されることになりました  キリスト十字架降下の時の緊迫したムードが伝わってきます


ジョバンニ ベッリーニ 作 ピエタ  この絵に関してはPIETAの項でも紹介しました  おそらく「足からキリストを埋葬した」という聖書の記述に基づいて描かれました  上の絵と比べてみると 説明的な部分は非常に少ないです  同じように聖書の一場面を取り上げていても かなりウェイデンの絵とは趣が違います  表情や描き方からすれば ウェイデンのマリアはオーバーアクションですが  ベリーニは抑えた画法表現法によって かえって心の深さを表そうとしています  ウェイデンのマリアの涙は 物語の中のひとつですが  ベリーニのマリアの涙は それを意味するもの自体が中心です  涙によって この絵のテーマ 埋葬の時の悲しみがクローズアップされています  「涙をいっぱいためた目から涙が溢れ出さんとするように この絵もまた涙を流すだろう」  そう 画家本人はこの絵に書き添えています
 
             

ティツィアーノ ヴェチェリオ 作 十字架の道行き  キリストが自分が架けられる十字架をゴルゴダの丘に運ぶ場面です  十字架や茨の冠により 私たちはこの人がキリストだとわかります  これもまた聖書の記述の一場面ですが 描きたいものはそれだけではないようです  涙を流しながら こちらに投げかけられているようなうつろな視線  この絵は テーマからして宗教画のジャンルに属しますが  Religionの項に書いた二つには私は属さないと感じます  この絵は宗教画の形態をとりながら人の心の苦悩や悲しみを描いていています  私の心の深いところに この絵は何かを訴えかけます  ティツィアーノの涙はウェイデンの涙のように説明的ではありません  涙は悲しみの象徴という簡単な図式で涙が描かれたものでなく  もっと心の奥底から出てる苦悩のようなものを感じさせてくれます
 


ミケランジェロ・メリージ カラヴァッジョ 作 マリアの法悦  この女性はマグダラのマリアです 私の大好きな絵です  LIGHT in rainbow でも紹介しました  マッダレーナは聖書の中に出てくる重要な女性です  彼女は聖書の中で 一番人間っぽい存在かもしれません  さまざまなことを経験したマリアは イエスとの出会いで改心します  その心は 私たち自身の小さな後悔や反省につながるものです  だからこそ 私はこの絵に心惹かれると思います  でも それだけではないものを   上に挙げたティツィアーノの絵に感じたものを 私はこの絵に感じます   暗闇に浮かぶ照らし出された一人の女性 その劇的な表現力に  私は心を揺さぶられる気がします  4枚の中で 実際に見たのはこの絵だけです  構図や色のコントラストは大胆ですが 筆のタッチは緻密な感じを受けました  その緻密さの中で 光を受ける白の使い方がすばらしかったです  まさに 涙にほんの一筆の白が入り 彼女の心を浮き彫りにしていました

挙げた画家
ウィデン               
ベリーニ               
ティツィアーノ            
カラバッジョ            
様式北方ルネサンスヴェネチア派ヴェネチア派バロック
画家の特色
北方ルネサンスの特徴

@緻密細密な表現(写実性) 
A感情を抑えた表現(静謐性)
B遠近法に因らない空間表現

ウィエデンの作風は、北方ル
ネサンスの中で、人間の心の
動き、人体の動きをあたたか
く表現したところに、他の北
方画家との違いが認められる。
衣服や持ち物などの精密な描
写はヤンファンエイクには及
ばないものの、北方の特色を
十分に踏襲している。
初期ヴェネチア派の特徴

@ビザンチン美術の踏襲
A写実的表現
B油彩技術の導入(*1)

地理的にも経済的にも独立し 
たヴェネチアで、ヤコポベリ
ーニが、遠近法を学び、息子
のジョバンニがメッシーナよ
り油彩の技術を学び、ヴェネ
チア絵画は発展する。ジョバ
ンニは抑えた色調と感情表現
を特徴とする。背景に自然光
を取り入れた初出の画家。
後期ヴェネチア派の特徴

ベリーニ一族から左記三点を
ジョルジョーネが受け継いで
いく。彼は、レオナルドから
フスマートの技法を得る。盛
期ルネサンスが素描を重視す
るのに対し、ヴェネチアでは、
色彩表現を重視しながら絵画
は発展する。大気や輪郭を色
彩の重ね合いで表現して行く
方法がティツィアーノによっ
て完成された。彼は油彩にお
けるあらゆる表現方法を見出
した、とされている。(*2)
バロックの特徴

(自分の言葉で語れないので
以下略)

カラヴァッジョの光の描き方
(光の利用し方?)は、斬新
でそれまでの宗教画のイメー
ジを刷新した。劇場の舞台を
見ているようなドラマチック
な画面構成に、画家の真髄が
ある。



写実的に表した最初の涙抑えた悲しみの涙空気に溶け込む涙私の好きな涙
(*1)油彩 バザーリの「芸術家列伝」の記載により 油彩はヤンファンエイクが創始者とされてきたが その後の研究で エイク以前の時代のイタリアでの油彩が使われていたことがわかっている しかしエイクによって 塗り重ねができるような顔料と油料が見出されて 後の絵画技法の発展に大きく影響していった (*2)油彩 エイクの油彩技法は アンドロダメシーナによってイタリアにもたらされた ジョルジョーネなどが従来のテンペラなどと混合で油彩を用いたりした それまでの油彩は透明に塗り重ねられるように描かれたが 次第に筆の動き自体で対象を表現していく現在の油彩の技法に移行していく そのはじめにいるのがティツィアーノである
参考表

                    ジョット ********1266?-1337
                     ヤンファンエイク *****1390?-1441
                            ウェイデン ******1400?-1464
                       ジョバンニベリーニ *********1429?-1507
                                    ダビンチ ********1452-1519
                                     デューラー *******1471-1526 
                                ミケランジェロ **********1475-1564
                                ジョルジョーネ ****1476?-1510
                                     ラファエロ *****1484-1520
                                 ティツィアーノ *********1487?-1576
                                         カラヴァッジョ *****1573-1610
                                              ルーベンス *******1577-1640            

北方ルネサンス   ヤンファンエイク ウェイデン フース バウツ デューラー ブリューゲル イタリアルネサンス ジョット チマブイ ドナテロ マサッチョ ミケランジェロ ラファエロ ダビンチ ヴェネチア派    ヤコポベリーニ ジョバンニベリーニ ジョルジョーネ ティツィアーノ ヴェロネーゼ  バロック      カラヴァッジョ ルーベンス ・・・      
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