FIGURE V in rainbow

ヴィーナスは いつからずっと横たわっているのだろうか


VENUS


ヴィーナスは美の女神
アフロディーテ ウェヌスとも言われる
時の神クロノス(サトゥルヌス)が自らの父を殺し
切り取った彼の男根を海に投げ込んだ時に泡がたち
その泡の中から生まれたのがヴィーナスだった
彼女は非常に美しく ヘパイストスという夫がいたが
多くの神との間に子をもうけた
戦いの神マルス(マーキュリー)が恋人だった

マルスの戦いに逸った心を静めるのはヴィーナスの愛であった
恥じらいつつしみをもつヴィーナスとして 多くのヴィーナス像が描かれるが
その原型になったものは上に挙げたカピトリーノのヴィーナスである
マサッチオのエバ ボッティチェルリのヴィーナスなどがその追従である

その後 ジョルジョーネによってヴィーナスは横たわる姿を見せることになる



古代ローマの詩の中に ・・ヴィーナスは戦いにいるマルスを眠りの中に待つ・・ という祝婚歌がある ヴェネチアの若き貴族ジロラーモは 自分の結婚の記念として 眠れるヴィーナスの絵を描くように ジョルジョーネに注文した 当初は ヴィーナスの足元に子孫繁栄のしるしでもあるクピドが描かれていた   ジョルジョーネはこの絵を完成させることなく 若くして病に倒れる 後ろに広がる景色(*1) ヴィーナスの敷いている白い布  この二箇所が ティツィアーノの加筆である ティツィアーノによって 眠れるヴィーナスは完成した その後 ティツィアーノは自らも横たわるヴィーナスを描く ウルビーノのビーナスである 下半身に添えられる手がかろうじて恥じらいを表してはいるが じっとこちらを見つめる表情は 魅惑的で誘惑的である   マネは 上の二枚をよく観察したに違いない そしてなおかつ 彼女に美の女神という役割だけでなく 彼女に彼女自身の意志を与えた
ヴィーナスと名指していなくとも 多くの横たわる女性がが描かれた ある時は貞節を持って ある時は無心に ある時は情欲的に 魅惑的な女性の横たわり眠る姿に 私たちはヴィーナスを思い起こす
黄金の光となって寝室に降り立つゼウスを受け入れるダナエ 多くの貴族が ティツィアーノに裸婦の絵を注文し寝室に飾った 闇に浮き上がる 悪夢にうなされる女性 ・・独特のフュースリーの世界がひろがる 恥じらうヴィーナスには程遠くても マネの描いた女性の強さを感じる フィレンツェにいるヴィーナスといえば ボッティチェルリの「ヴィーナス誕生」 そして もうひとりのヴィーナスと呼ばれる女性が静かに眠る博物館がある 芸術の都に生まれた もうひとりのヴィーナスである そして 永遠の憧れのヴィーナスは夢の中にしかいない

+++unchiku+++(1) ジョルジョーネの描いた背景に加筆をしたティツィアーノは その空気にとけこむような色使いを学び 自らの絵にもそのコピーとも思えるような背景を描きました ただ 画像ではよくわかりませんが ティツィアーノは光の方向性を持たせているところに ジョルジョーネの曇り空のような表現から脱却したといわれています ティツィアーノは光を色によってどう表すかを追及した画家でもありました    左がジョルジョーネ 右がティツィアーノの背景の家並みです back museum